どうぞあの世で しあわせに!⑥

或る朝、監獄の扉の外から、法廷で会った男の声が聞こえた。普段は意識したことのない小さな隙間から、彼の衣服の発する光が入って来た。それはまるで、窓から降り注ぐ春の日差しのように柔らかかった。 気の遠くなるような時間を過ごしたようにも思えるが、もしかしたらまだ、刑期の十分の一も終えていないのかも知れない…