どうぞあの世で しあわせに!⑩ 《完結》

「息子の、死因は、何ですか?」 恐ろしく明瞭な発音で、私は男に訊ねた。 「ただの老衰。凄く楽に死ねたみたいだよ。家族に看取られながらさ」 「幸せだったのでしょうか?」 「うん、多分ね」 「夫は?」 「ノートに名前が無いかな?」 男に言われ、急いでページを遡る。見覚えのある、角ばった字が、すぐに見付かった。…