休日と犬の睡眠薬③

彼の足音が聞こえた。うたた寝をしていた私は慌てて目を開け、真直ぐ背筋を伸ばす。彼はいつの間にか、服を着替えていた。 コーヒーが注がれた、耐熱ガラス製の透明なティーカップを、両手に一つずつ持った彼は、呆れたように笑いながら言った。 「昔、うちにいた犬みたいだね」 「犬?」 「うちの犬、散歩から帰ってきた…