小説版ミッサーシュミット

文章を書くのが大好きなミッサーシュミットの小説の数々♡

休日と犬の睡眠薬⑦

 限界まで焦らされた後に与えられる快楽は、脳内で何倍にも強化された。

 太くて長い指が動く度、固く目を閉じたまま、私は悲鳴を上げた。

 執拗に、丹念に、濡れた場所を優しく探る彼の指が、突然、激しく貫いた。頭の中が、体の内側と外側が、シャンパンよりも、激しく泡立っている。思わず、喉の奥から迸り出た、獣じみた低くて大きな声を、殆ど夢心地で聞いた。

 肩で息をしながら、目を開いた。彼は、凶暴さと戸惑いを浮かべた瞳で、私を見下ろしていた。見られていたのだと、思うと、体中の皮膚が粟立った。

 もっと欲しいと思う、自分の貪欲さが恥ずかしい。でも、どうせ、激しく乱れた姿を見られてしまった後なのだ。何か言おうとして口を開いたのに、息が乱れて、声が、出て来ない。

 ようやく、鼻で息が出来るようになり、そっと口を閉じた。同時に、彼の指先が唇に触れ、優しく撫でた後、親指の先が、口の中に入って来た。上下の歯の間で、少し冷えた指先が、そっと動く。舌に触れた瞬間、もっと刺激が欲しくなって、私はちろりと舌を動かしてしまった。その行為に夢中になっていると、突然、口から指が引き抜かれた。

 遠ざかる彼の指先に、唾液の糸が引いているのが見えた。名残惜しさを感じているのを、見透かされたような気がして、少しだけ、醒めた。

 ソファベッドの上に胡座をかいていた彼は、私の両腕を、強く引いた。私を自分の胸にもたれ掛けさせてから、あやすような手付きで、頭を撫でてくれた。

 心地よさと温かさに、安らぎを感じ始めた途端、右手を掴まれ、導かれた。  

 彼の昂りが指に触れた瞬間、心臓が大きく跳ねた。恐る恐る、彼を見上げた。彼は、私の額に張り付いている、汗に濡れた前髪を掻き上げながら、切なそうに訴えた。

「俺も、気持ち良くして」

 二つの鼓動が同調した。

 初めてではないのに、どうしても慣れない。上手く出来ている自信も無かった。

 大丈夫、怖くない。

 自分に言い聞かせながら、深呼吸をする。顔を近づけると、自然に、犬のような格好になった。彼の視線が気になるので、両目をしっかり閉じる。

 唇に、固い何かが触れた。もう逃げられない、と覚悟を決める。大きく口を開き、音を立てて先端を含み、舌で包み込んだ。

 指で根元を軽く掴んだ。歯を立てないように気を付けながら、少しずつ奥まで銜え込んで行く。舌を絡めて吸い、頬の内側の粘膜を押し付ける。怪しく濡れた音が、辺りに響いていた。

 頭の上に、彼がそっと手を置いた。呻き声が大きくなると、自然と指にも力が籠る。抑えようとしても、我慢しきれないのが良く伝わった。

 彼の表情が見たくなり、うっすら目を開けて上を向くと、いきなり目が合った。ずっと彼に見られていたのだと思うと、なりを潜めていた筈の羞恥心に再び火が着き、顔に血が昇った。そして、高揚感も湧き起こって来た。行為を続け、反応する彼の表情を楽しむ内に、快感が体の奥で渦巻き、私は徐々に、過激になって行く。

 目を合わせたまま舌を動かすと、大きさと硬さが増した。限界まで広げられた口の端が切れそうになり、思わず呻き声を上げると、彼が、私の髪を荒々しく掴んだ。突然の痛みに驚き、舌が素早く動くと、急に彼の呼吸が荒くなり、苦しそうな声が聞こえた。

 

<続き>

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