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小説版ミッサーシュミット

文章を書くのが大好きなミッサーシュミットの小説の数々♡

休日と犬の睡眠薬⑥

 舌が、乱暴に口の中に入って来た。顎にかかる彼の手を退かせようと、必死でもがく。彼は私の手首を掴んでそれを制止し、体重を掛けてのしかかりながら、更に強く唇を吸った。

 シャンパンに酔った体は、簡単にソファベッドに押し倒された。彼は私の首筋に舌を這わせ、左手を腰に回し、利き手である右手で器用に私の服を脱がし始める。

 露わになった鎖骨や背筋に沿って、彼の指が滑る。快感よりも、恐怖が大きく、声を上げることが出来なかった。

 ジーンズのボタンに彼の指が掛かった時、声を上げて抵抗した。頑丈な肩や手を力一杯押し返し、身をよじって、彼の下から逃げ出そうとした。酔った体で、力を振り絞って、あらゆる努力をしてみたが、彼は私の性感帯と、快楽に抗えない性格を知り尽くしている。余裕に満ちた指先の動きに、徐々に抵抗力を奪われて行く。ゆるやかだが、有無を言わさぬ強引さで、呆気無く、下着まで脱がされてしまった。

 私が一糸纏わぬ姿になって、ようやく彼は、体を起こした。もどかしげな手付きで服を脱ぐ彼を、横になったまま、じっと見ていた。その視線に気付いた彼は、私の体に覆い被さりながら、耳元で、意地悪く囁いた。

「怖かったの? 嫌なら、止めようか?」

 耳に彼の唇が触れ、思わず身を竦ませる。シーツや掛け布団で顔を隠したくとも、ソファベッドの上には、何も無かった。

 体を起こし、彼は、ソファベッドの背もたれに手を掛けた。一度手前に強く引き、ゆっくり向こう側に押しやった。右腕に触れていた感触が消え、冷たい空気が、全身を包む。手を伸ばし、さっきまで背もたれだった場所に触れた。柔らかさを楽しんでいた私は、一瞬だけ、自分の置かれている状況を忘れた。

 彼がいきなり私を抱き上げ、ソファベッドの中央にそっと移動させた。体温で暖まっていない生地の冷たさに、背中の性感帯が素早く反応した。

 抵抗はしたが、本気で拒絶した訳ではない。突然、力ずくで、一方的に愛されるのが、恐ろしいだけだ。快楽の渦に放り込まれ、彼の反応を確かめることも出来ずに、一人で昇り詰めてしまうなんて、そんなのは、悲し過ぎる。二人で一緒に、感じ合うやり方でないと、嫌なのだ。

 彼は、縋るような瞳で、私を見下ろしている。何を求めているのかは、もう分かっていた。気弱な、そして、何かを期待している表情で、彼は無言で問い掛ける。私は、彼の長い首に、そっと両手を回し、短く刈った後ろ髪に、右手の指を差し入れた。頭皮をくすぐるように指を動かすと、彼は気持ち良さそうに声を上げた。

 眉を軽く顰め、微笑み掛けると、彼は恐る恐る、唇を触れ合わせて来た。私はそっと目を閉じて、今度は、自分から舌を絡めた。キスが上手いと言われたことも、自分で思ったことも無い。だけど、彼は、私からキスをすると、とても喜ぶのだ。

 いつもと違い、彼は乱暴に、不思議なくらい、余裕の無い愛撫を繰り返す。あまり大きくない胸をきつく揉まれて、思わず、痛いと悲鳴を上げた。それでも彼は止めてくれず、指の間からはみ出た乳首に、舌を這わせた。固くなった乳首を、唇で挟み、音を立てて吸われ。軽く歯を立てられると、痛みを忘れ去る程の、大きな快感が湧き起こった。

 我慢出来ずに、声を上げた。自分の声の後で、彼の吐息が、耳に届き、更に快感が増した。唇で胸を弄ぶ間も、彼の指は私の体中を、隈無く移動する。皮膚の上に軽く爪を立てたかと思うと、今度は、爪の腹で撫でさする。彼の唇や舌や指は、私に声を上げさせる為だけに動いていた。

 皮膚や粘膜に受け続ける、目に見えない麻薬のような快楽に、もっともっと溺れたい。彼の愛撫の他は、何も要らなかった。抵抗する気など、とうの昔に消え失せ、本当は、今すぐに、無条件降伏してしまいたいくらいだった。

 限界まで焦らされた後、優しく耳元で囁かれた。

「どこに触って欲しい?」

 素直に答えると、彼の長くて太い指が、触れて欲しかった場所に届いた。

 

 

<続き>

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